2016.11.3 須磨海水浴場
旅行記ってほど大袈裟ではないけど、今日行った散歩のこと。
私は散歩がだいすきなんだけど、このところ学校や研修でずっと忙しくてのんびり歩きまわれる時間がなく、今日が祝日で学校がないということを知ったのも今週に入ってからだ。学校がある日に研修を入れるときは公欠を取らないといけないのがめんどくさくて基本的に週末にしか研修をいれていなかったので、平日と思い込んでいた今日は学校も研修もない、完全な休日になっていた。
これはもう、散歩に行くしかない!!
近頃ずっと行きたいと思っていた場所があった。いつも学校へ通うために片道1時間半電車に揺られる、その車窓から見える海。
その海を電車の中から眺めるのがだいすきで、たとえ満員電車でもできるだけその景色が見える方の窓際に体をすべり込ませ乗車する。
陽が沈んだあとの海は真っ暗で遠くに浮かぶ船の灯りだけになってしまうけど、晴れた日の朝から夕方にかけて車窓から見るその景色は、それはもうきれいだった。特に朝の早い時間が良い。朝陽に夜が溶けだし空と海との境目が曖昧になって、何色とも言えないような。暴力的なほど慌ただしく過ぎる1日のはじまりに、その景色を眺める数分だけは別の空間だった。
次に休みがあったら絶対この海に朝陽を見に来ようとずっと思っていたので、今日の休日の使い方はすぐに決まった。
早朝4時半起床。顔を洗って着替えを済ませてから、胡桃のパンとチーズのホットサンドを作った。朝焼けを見に行くんだ、と昨日の夜からわくわくしていたこともあって、今朝の朝ごはんはいつもよりおいしく感じた。
朝の海は寒いだろうから厚着をして、それでも寒いと思った時に温かい飲み物があるととっても良いなあという妄想をこのところずっとしていたから、水筒にあつあつの紅茶を入れて持っていくことにした。(すいとうって、べんりだなあ。)
家を出たのは6時。自宅の最寄り駅から電車に乗って、目的地に着いたのは6時半過ぎだった。日の出の瞬間は少し逃してしまったけど、それでも下車してすぐに見えた念願の朝陽にうれしさが込み上げた。
早朝でもわりと人が集まっている。海岸沿いに少し歩くとある海釣り公園で釣りを楽しむ人、砂浜でトロンボーンを吹いている人。犬とボールで遊んでる人もいた。大きくて優しい表情をしたゴールデンレトリバーだった。
海岸に沿って歩いているうちにどんどん太陽も昇ってきて、ぴんと張り詰めていた冷たい空気も(温かい飲みものを持ってきて正解だった)微かにあたたかさを帯びてくる。
いつも乗る電車が走る線路と海岸とを分ける高い壁と、空↓
ひとしきり海を眺めてから海岸をあとにして、3駅ぶんほどの距離を1時間とすこしかけて歩いた。
国道沿いをずっとまっすぐ歩いているあいだ、すれ違うのは今月開催されるらしいマラソン大会の練習に励むランナーや、釣り具を抱えた人。必要以上に慌ただしく歩く人も騒ぎ立てるものもなくて、私の歩くはやさに寄り添うみたいに時間が過ぎていくのが心地よかった。
途中で広い庭のある家の前を通りかかって、そこにはさっき砂浜で飼い主とボール遊びをしていたあのゴールデンレトリバーがいた。優しい表情が印象的だったからすぐにわかる。心の中で挨拶をしてから、その家を通り過ぎた。
国道沿いの歩道を歩いているときもずっと海がみえていて、高台でみた地平線にこの星のかたちを思った。
最近、私はうまく喋ったり言葉をつかったりできないから、ひとりで行きたいところに行って自分の感じたことは自分だけのものにしておくほうがいいのかもしれないと、諦めに似たような気持ちになることが多くなってきている。
でも今日みたいに大きく心が動くような景色をみられたりしたときに、このきもちを共有したいと思える人がいることは幸せなことだ。そんなときに顔が浮かぶ決して多くはない何人かを大切にしていきたいし、あわよくばそんなふうに思える人がこれからも少しずつ増えていけばいいなあと思った。
次の休みにはどこにいこうかなー!
ベタだけど紅葉とかみにいきたいなあ。