がくしゅうちょう

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だいすきなまち

だいすきなまち、尾道に行って来た。
はじめて来たのは去年の2月だったから、約1年ぶり。前に来た時には時間がなくて玄関を通り過ぎるだけで泣く泣く宿泊を断念したゲストハウスあなごのねどこ。1年間ずっと憧れていて、やっと、一泊できる時間がとれたので、半ば勢いだけで1度しか会ったことのない広島に住んでいる友達に連絡して、ふたりで宿をとった。


チェックインの手続きをする番台のすぐ横は宿泊者が自由に使える和室になってて、おおきな炬燵がおいてある。その日はわりとベッドが埋まり結構な人数の旅人が泊まりに来ていたらしい。夜に炬燵に集まっていたはじめて顔を合わせる3,4人で、それぞれが持ち寄った日常を話題にお喋りした。そのどれもがきらきらとしていて魅力的で、たのしい。普段している仕事のこと、住んでいる町と明日向かおうと考えている町のこと、これからの人生でやってみたいこと、目指している場所とか。その人にとってはきっと毎日繰り返している当たり前の日常なんだろうと思うんだけど、それをそのひとのことばで語られるのを聴いていると、すべてが私にとっては体験し得ない非日常で、その人の日々の生活はもちろん抱えているちいさな不安とか鬱憤とか、そういうものさえ輝かしく羨ましく思えた。生きているひとのことば。誰がどんな話をしても、合間には「すごい!」「かっこいいですね」「羨ましいなあ」と、そんな声があがって、ここで出会うまでの各自のささやかな冒険を称え合うような雰囲気がとても心地よかった。みんなやさしい。

 

こういう場面をみてると、みんな普段何気なく過ごしている毎日のなかで実はちいさな煌めきをすこしずつ、知らないうちに集めながら生きているんだなあなんて思う。知らないうちにっていうのが重要なのかな、本人が気づかないうちにその人のものになってしまったもの、言葉の出てくるリズムとか目線の動かしかたとか。癖ってうそがつけないから。

 

だれもお互いの名前すら聞かないままたくさん話をして、笑って、寒いねでもこたつがあるからあったかいね、とかなんでもないようなことも言ったりして、宿を出る時間になったらみんなが集まってる炬燵に向かって「またどこかで!」と声をかけてそれぞれ旅立っていく。なんか青春映画みたい。そんなの映画やドラマの中だけの話だよ、みたいなことは、案外そこらへんに転がってるもんなんだな。拾うか拾わないかなだけで。なるべくそういうのを見過ごさずに拾って集めていけたらなあ。ずっとそう思ってやってるけど、なかなか思うようにできない。簡単にできたんじゃ味気ないだろうから今はそれでもいいんだけど、一期一会とか、当たり前は当たり前じゃないんだとか、世の中で腐る程言われ続けてるようなことを丁寧にすこしずつ崩して噛み砕いて、いつかは自分のものにできるかな。かっこいいひとたちに会えてよかった。


そういえば、今からヒッチハイクで目的地まで行くと言ってた女性二人組、うまくいったのかな。とっても素敵なお二人だったんだけど名前も連絡先もSNSも聞かなかったから結果を知る術がない。うまくいって今ごろはあったかいところで過ごしていてくれたらいいな。

 

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近々また行きます。

いつか住んでみたい。