がくしゅうちょう

書いて残す

五年

 

忘れるな、と言われているようなきがする

許せない、許すな、忘れるな

あれから何度も霞んでは浮かび上がる「許せない」は、いつからか当たり前のような顔をして酸素や血液の循環といっしょにおれのからだじゅうをはしりまわっている そしてある部分を通過するとき、ひとかけらのガラス片が混じってたみたいにおれのことをちいさく、けれども確実に引っ掻く、その一瞬、そいつとおれはひとつとひとりとして互いを明確に意識する

不意を突かれて痛んだそこに思わず手を当ててみると既にもうそいつはかたちを失くして何事もなかったかのように全身へと散らばってゆき、そして再びおれと同化する、

した、ような


ゆっくりと息を吐く


愛おしさと憎悪とが交差したその一点に、こころはやはり、心臓にある という確信

未だに、目の前できみが しあわせだ と、それはそれは絶望的なほどに甘ったるくほほえむ悪夢に襲われている
 
おれは二度と、きみの心臓にさわれない