がくしゅうちょう

書いて残す

AgustD ツアーファイナルをみた

 

 


AgustDのワールドツアーのファイナルをみました、現地ではなくオンラインの配信だったけど自分にとって大きな体験だったので、ユンギさんのことやユンギさんの作る音楽のこと、自分の感じたこと考えたこと、忘れないうちに書き留めておく記録

 

自分はもともと今まで聴いていた音楽のジャンル的に作者と作品は切り離して受け取る、または受け取ろうとするところがあったと思う

これは個人的に、あまり作者の人間性に対して過剰に好意を抱いたりもしくは拒絶する部分があったとして、その人物が生み出した作品自体に偏見を持つことをしたくないというのがある

もちろん作品は人間が作ったものなので作者の人格を知った上で鑑賞することで新たな気付きを得ることがあるのは承知の上で、まずファーストインプレッションとしてその"曲"自体が自分とどういう関係になるかが私にとっては大切、それと自分の性格が捻くれているからかもだけど、"〇〇(作者)が作る曲はぜんぶ神曲!!"みたいなのは好きではないので、そうならないようにしたかった


でもユンギさんの作る音楽の場合は彼がラッパーということもあると思うんだけど彼自身の人生そのものや経験が比喩などもほとんどなく直接的に起こった事実として表現されていることが多い、それもあって作者/作品で切り離すのはちょっと難しかった。こんなに特定の人物のことを意識しながら音楽を聴いたのは初めてだったかも知れない

 

AgustDとしての曲は特に痛々しいほど生身の人間の言葉で作られているから受け取るのに相当大きなエネルギーが必要だった

私が初めてちゃんと歌詞を理解しながら聴いたのはDear My Friendで、冒頭、きれいなメロディーだなと思って聴いていたのが、ユンギさんの語るように紡がれる言葉、淡々と語られていく声の奥底の方に煮えたぎる怒りや悲しみが聴こえてきてたまらなかった。並べられていく言葉と音の中に当時の彼の表情や仕草の情景が鮮明に見えてしまって、曲を聞きながら脳のどこか冷静な部分が"状況の描写がえげつなくうまい人だな"みたいなことを思いながら、目からは涙がぼろぼろ出ていたのを今も覚えてる


あの曲は私自身が人生で躓いたときの経験にもすこし掠る部分があって、ユンギさんの怒りや悲しみが自分の中にあった同じ類のものと共鳴して掘り起こされた感じだった。たぶんAgustDの曲を聴いてる世界中のファンの人も、そういう人が多いんじゃないかなと思うんだけど

そういう、過去の怒りや苦しさをたくさん含んで出来た曲を今の彼が自分のソロワールドツアーの最終日にたくさんのファンの前でぐしゃぐしゃの顔で泣き叫ぶように歌っていた姿、全曲やりきったあとにAMYGDALA のMVでは最後まで手が届かなかったドアから外の世界に出ていくときのあの優しい笑顔のラスト、私きっとこの先ずっと忘れないだろうな


ユンギさんのこれまでの人生って、もちろん彼だけがもつ記憶の方が圧倒的に多い前提としてもそれでもそのほとんどすべてをファンと共有しているから、どんな苦悩があって今の位置に立っているのかは公式で出ているコンテンツを辿ればほぼほぼ網羅できてしまうし、ひとりの人間の人生が丸々"コンテンツ"として世の中に提供されている(これはアイドル全般に言えること)ことは少し危険も孕んでいる気はするしそれがある種残酷な構造に見えることもあるかもしれないけど、今回のツアー全工程とフィナーレ、ツアー回ってる本人の表情をみてると、そんなマイナスな面よりもプラスになった面のほうが圧倒的に大きいんだなと感じた、演者も観客もお互いをよく知った同士がひたすらに愛情を与え合う光景だった

ユンギさんが他人には到底真似できないほどの熱量や誠実さで自分とも人とも向き合ってきた人だからこそ出来上がったあの空間だったんだろうな

 

最後にユンギさんがドアを開けることができて、あの満たされた表情でドアの向こう側に消えていくラスト、演出だとはわかっているけど、まさに今の彼が過ごしている人生そのものだった。ほんとにほんとの意味で、自分を幸せにすることができたんだね、ユンギさん…

心の底から自分自身のことを満たしてあげられた人だけが出来る、やわらかくてやさしい表情だった。愛そのものだった。あんなの絶対忘れられないなあ

私はなんか、自分が死ぬ直前にああいう表情ができたら幸せだなみたいなふうに思うのに、あれを30歳っていうまだ若者にも分類でき得る年齢で出来ちゃってるユンギさん、これからどこまで行くんだろう

 

大団円でツアー締め括ったすぐ翌日にユンギさんの兵役のお知らせがきたけど、これだけたくさんのことをやり遂げた人にもまだ未知の世界が待ってるんだな、なんかそれは希望でもあるようなそうでないような、私がこういう複雑な気持ちになってしまうのはやっぱり日韓や世界の歴史のことを知っている以上は切り離せないもので、だけど、それについて考えることや学ぶことをやめたり口をつぐむのは、してはいけないことだよなあと思う


資本主義や社会の構造とかについてもよく言及しているユンギさん、自分もその中に組み込まれざるを得ないこと、どう感じてるのかな、と思ってみたりする。これは私がbtsを好きだからということだけではなくて、これまでもこれからも若い男性たちが1番謳歌できるはずの貴重な数年を武器を持って国のために使うことについて、考え続けていく、考えるだけで喉の奥がつかえるような感じがするしこんなことを考えるしかできない自分に本当に嫌気がさすんだけど、日本人である私が彼らやその音楽を愛していくことと歴史上の出来事に向き合っていくことは何の矛盾もなく当然両立できることだと思うから

 


なんかいろいろ書いたけど与えるのも受け取るのも上手なユンギさん、ほんとにすげ〜という気持ち。世界中からあんなにいっぱいに愛を受けてそのぜんぶをああやって大きくやさしく抱きとめられる人いるんだね。本当に不思議。btsの皆さんみんなそうだけど、そんな人たちいままで生きてきて見たことなかった。正直今まで自分が憧れてきた人って何個も年上の人ばかりだったから、ほとんど年齢の変わらないひとに対してこんな気持ちになるなんて思わなかったな〜


1人で世界中回っていろんな国のいろんな景色を見せてくれたユンギさん、ツアーやってくれて本当に本当にありがとうお疲れ様です、世界中があなたのおかげで幸せですよって言いたい

 

楽曲自体もステージ構成も本当に最高で言いたいことまみれなのにやっぱユンギさん自身についてのことを多く語ろうとしてしまうからもうやっぱこの件に関しては作者作品を分けて考えるのは無理っぽいなって気がするな、音楽自体がユンギさんそのものなんだもんな


はあ、ああいう人に幸せでいてほしい、ユンギさんみたいな人がこれからもずっと笑顔でいられる世界が間違ってるはずないもん

私は私で自分のことを幸せにしてやらないと、今もわりと幸せだけどなんかもっと良い感じに……

死ぬ前にあんな表情でとは思ってたけど生きてるうちにできるんなら何回でもあんな顔で私も笑ってみたいし周りにいる好きな人たちにもそうやって笑ってて欲しすぎる


現代を生きていくの前途多難すぎるけどどうにかやっていこう、ユンギさんがドア開けて出て行ったあとスクリーンに浮かんだFuture's gonna be okayのこと何回も思い出してやっていこう